ROAD


第一回 MAVICのCOSMIC SLRという秀逸なホイールを再考します

2023.Jan. 17

ホイールブランドだからこそできる、トータルで様々な角度から考え抜かれたホイールセット MAVICのCOSMIC SLR。

当店では高速性、高剛性、軽量性を兼ね備えるオールラウンダーCOSMIC SLR 45と、さらにリムを軽量にすることで上りにフォーカスを当てたCOSMIC SLR 32を展示しています。

「#走りが軽いマヴィック」のタグは見たことのある方も多いと思いますが、どちらも本当に良く走ってくれる素晴らしいホイールです。

 

、、、が、例えば同カテゴリーのホイール比で重量があったり、風洞実験の結果だったり、わかりやすいスペックからMAVICの哲学をくみ取るのは難しいです。

ただホイールを細かく見ていくと、全ての要素が緻密に考え抜かれており、それはレースで速く走るという目的だけではなく、「長くこのホイールを使ってもらいたい」なんて思いが凝縮した結果なんじゃないかなと感じます。

ディティールの緻密さがすごいので長くなります。何度かに分けてお伝えさせていただきます。

 

このホイールの最も前衛的なトピックスとしては「FOREカーボン テクノロジー」が挙げられます。

MAVICの歴史とも言える「KSYRIUM」など、評価の高いアルミホイールで使われていた技術をカーボンリム用にアップデート。

リムにニップルを受けるインサートを接着。これに専用ニップルは直接ネジ止めされます。スポーク・ニップルから負荷を受ける部分の強度は確保され、それ以外の部分を薄く作ることが可能になり、インサートがあってもリムを軽量に作ることができるようです。

 

さらにFOREの特徴としてニップルを内周側から取り付けるので、タイヤを取り付ける外周側に穴がありません。これにもメリットがあって、まずはリムテープが不要であるということ。また、同じ強度を確保するときに、穴がない方が積層を薄く作ることが出来るようで、これまたリムの軽量化にもつながります(当時ミニ四駆に穴を開けまくった僕としては穴があった方が軽く思えますがそうではないようです)。

 

これは汎用のスポーク・ニップルを使用しているブランドでは不可能な、ホイールをトータルデザインしているブランドだからこそできることです。実はスポークだけは自社生産ではなく、とあるエンジン付きバイクのスポークを作っているメーカーに特注していると聞きました。このスポークも凄くて、剛性が高いのは当然として、薄い楕円のような形状でよくある平たいエアロスポークよりも空力が高いようです。

 

せっかくなのでスポークについてもう一つお伝えしますと、すごいことに全てのスポークの長さが同じです。一般的にロードバイクのディスクブレーキ用のホイールだと前後左右で4種類の長さのスポークが必要になりますが、全て同じ。MAVIC側は1種類のスポークだけ用意すれば良く、イコール在庫もしやすいでしょう。ライダー側はスモールパーツの供給の心配が減るというWINWINなテクノロジーです。

一応悪いことも言っておくと、FOREの大きめなニップルはエアロ的には良くないみたいです。アルミの例えばKSYRIUMなどのニップルよりは少し角が落としてあり、ニップルのエアロについての気遣いも見受けられます。ただ、スポークのエアロ効果が非常に高いのでニップルのデメリットは打ち消してくれるようですよ。

 

細部に神が宿るなんて言いますが、すべてに理由があって作られているプロダクトには惹かれますね。そうなんです、すごいんですよMAVICのホイール。

やっぱり長くなってしまったのでまた次回へ続きます。

 

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