MTB


サスペンションセッティング 2018 ~ダンパー編その4 ~

2018.Jun. 17

前回から少々時間が空いてしまいスミマセン・・・

前回は選択式の~エンデューロ系コンプレッションについてお話ししました。
今回はDH系コンプレッション調整でお送りしたいと思います。
文章だけでは??ってなってしまう難しい案件ですが、張り切って参りましょう!!

まずはDH系のフォーク、ユニットの多くに採用されている
ハイスピード、ロースピードのコンプレッション機構の役割の確認から始めたいと思います。

まずはロースピードコンプレッション。
ロースピード、つまり遅い動き、入力に対しての動きを制御する調整となります。
ライダーからの入力、ブレーキングによる沈み込み、コーナリング中のピッチングなどが
ロースピードコンプレッションで制御する事の出来る動きです。
簡潔に言えば、路面からの衝撃以外の制御をロースピード側が担っていると言う事です。
セッティングではハイスピードコンプレッションよりも重要性が高くなり、
エントリーモデルで1系統のコンプレッション調整しか付いていないモデルも調整出来るのはロースピードの調整となります。

 

次にハイスピードコンプレッション。
こちらは速い動き、強い入力に対する制御となり、
ドロップの着地での沈み込みや(落下系)、角の立ったギャップなど、路面からの衝撃を制御する調整機構で
スプリング側のボトムアウトコントロールと作用を混同しがちですが違うものとなりますのでご注意ください。

以上が、それぞれハイスピード、ロースピードの役割になり、
ロースピード = ライダーの動き
ハイスピード = 路面からの衝撃
と大きく分けて認識する事が出来ます。
但し、ロースピードもなだらかなギャップ、
例えば細かいパンプトラックのコブの様な路面からの入力には作用します。

 

ではセッティングへ!!

・ロースピードコンプレッション
上記の役割でご説明した通りライダーからの入力に対する制御で、
締めこんで行く事でサスペンションが動き過ぎてしまう状況を改善できます。
具体例を挙げると、コーナリングの際、タイヤのグリップを確保する為にライダーは荷重します。
荷重した力がサスペンションを介してタイヤに伝わり地面に押し付けられグリップする訳ですが。
コンプレッションが効いていない状態では荷重がサスペンションを動かすだけで、
タイヤに伝わるはずの荷重はサスペンションに吸収されてしまいます。

そこで、コンプレッションの調整を行います。ダイヤルを締めこんで行けばサスペンションが縮むスピードを
遅くする事が出来ます。体感でお伝えすると遅くなった分だけ動きが堅くなります。
遅くなった分だけ荷重を掛ける時間が増え、堅くなった分だけしっかりと荷重出来る様に調整出来るという訳です。
だったらコンプレッションの設定を強くした方が良いんじゃないかと思いますが、
衝撃を吸収する為のサスペンションです、過剰に堅くしてしまうと本末転倒ですね。
この様に、ライダーからのアクションに対して作用しますので
ペダリング時のボビング、ブレーキング時のノーズダイブなど走行していて動き過ぎが気になる場合は
ロースピードコンプレッションを調整、セッティングします。

 

・ハイスピードコンプレッション
ハイスピードコンプレッションは極端言えば限界域に近いセッティングとなり
中々体感しにくい所となり、ご説明するのが非常に難しいので簡単な具体例でご説明。
ジャンプ、ドロップの着地の際、ボトムアウトしてしまったりストロークし過ぎてしまう場合に
締め込み調整を行います。先にも書きましたが、スプリング側のボトムアウトコントロールで調整出来るから
必要無いと思われるかも知れませんが、ボトムアウトコントロールでボトムアウトする事は防げても、
衝撃を抑える制御が出来ない為、ライダー、バイクの姿勢変化を抑える事が出来ません。
以前の記事でお話させて頂いた“入力された衝撃を全部スプリングに伝えない為の機構”と言うのはこう言う事なんです。

 

また、ハイ、ローコンプレッションは基本的に減衰力を作り出すオイルの通り道が違う為
ハイ、ローで極端に設定が違った場合、切り替わりの際に挙動が大きく変わってしまう恐れがありますのでバランスが大事です。
極端に設定が違ってしまうセッティングになる場合はスプリングレートが合っていない等の理由も考えられますので
再度サグ出しからのリセッティングをお勧めします。

 

調整に際して、少ない締め込み量では作用を体感しにくい為、
多めに(5~10クリック程度)締めこんでバイクの挙動がどう変わるのかを感じてから進めるのがお勧めです。
また、セッティングを進める上で基準となる位置、全開放から何クリックなどメモを取りながら行うと効率的に
セッティングを行えます。メモしておく事で調子のよかったセットに戻す事も出来ますからね。

 

と言う事で、コンプレッションの調整、ざっくりとお送りしましたがご理解頂けたでしょうか?
これで基本的なサスペンションセッティングは終了となります。
ここから先の細かいセッティングやニュアンスは、ライダーの技量、走るフィールドで大きく変わってきます。
定期的にセッティングを見直し常にベストな状態でライドを楽しんで下さい!

 

そして、次回はセッティングの最後としてAIRスプリングのボリューム調整でお送りする予定です!

最近はエアボリュームのセットアップに頼り過ぎて、セッティングの迷宮に迷い込まれている方が多い印象です。

正しく理解する事でバッチリとセットアップ出来るようになりましょう!