超個性派トレイルバイク、Scott Genius ST920
2023.May. 29
ニノ・シューターの活躍ゆえにSCOTTのMTBと言えばXC系の印象が強いですが、GAMBLERに代表されるグラヴィティ系のバイクも昔から人気が高いです。
下り系のラインナップはオールマウンテンからダウンヒルまで幅広く、そのどれもがしびれる程カッコいい。
そんなSCOTTの下り系MTBのうち、今期初登場したのがGENIUS STです。
数あるMTBの中でも超個性派と言えるGENIUSの魅力を解説します!
■SCOTT GENIUS ST 920 ブラック/グレー
¥748,000-
今年度よりフルモデルチェンジを果たしたGENIUSシリーズ。
ラインナップには通常のGENIUSとGENIUS ST(スーパートレイル)の2種類がありますが、こちらはSTの方。
通常のGENIUSのストロークが前後150mmなのに対し、STは160/150mmとなっていてより下り向けの仕様です。
ストロークこそエンデューロに近いですが、ベースがトレイルバイクということもあり下り一辺倒というわけではなく、ある程度のオールラウンドさも持ちあわせています。
SCOTTのフルサスMTBが風魔横浜に入ってくるのはこれが初めて。
そう、リアユニットがどこにも見えませんがこのバイクはフルサスバイクなんです!
同社のXCバイクのSPARK RCが同様の仕様で話題を呼びましたが、基本的にはあちらと同じ構造。
リアユニットはシートチューブ下部の膨らみに収められています。
ダウンチューブにはワンタッチで着脱できるカバーが付いていて、リバウンドやコンプレッションのダイヤルにはここからアクセスできます。
ユニットが見えないのにどうやってサグを出すのか?
もちろん心配はいりません、リンクにあるダイヤルからサグを測ることが可能です。
ここまでしてユニットを内蔵した理由はもちろん見た目のためだけではありません。
重量物であるリアユニットは低重心化のためになるべく低い位置に付けるのがセオリーですが、この構造にすることで通常よりも更に低位置、理想的な場所にユニットを配置できたというわけです。
そしてもともとBB周辺というのは自転車のフレームの中でも特に剛性が高い場所。
つまりリアショックに捻じれを生じさせることなくスムーズにストロークさせることも可能となります。
低い位置にあるリアユニットは飛び石や泥に対して脆弱になってしまうのですが、内装化してしまえばそれも関係ありません。
リアユニットのインナーチューブを痛めることなく、長期間ユニットの性能を維持することが可能になります。
一見奇抜に思えるユニット内装設計ですが、突き詰めると実に合理的な設計であることがわかります。
ブレーキホースやシフトケーブルがヘッドチューブから内装されているのも特徴。
ケーブル類の露出量が減ってトラブルを減らすとともにGENIUSのすっきりしたシルエットをさらに際立たせています。
また、ヘッド内部のワンを入れ替えることでヘッド角を変更できるというギミックも仕込まれています。
STだと標準は64度ですが、通常GENIUS仕様の65度にすることが可能です。
フォークはエンデューロ系のMTBでは定番のLyrik RC。
ダンパーがライト仕様なのでコンプレッションは1系統ですが、セッティングの沼にはまることが少ないのでこれはこれでアリです。
Syncrossのフェンダーが付属するのが嬉しいですね。
内装されていて見えないリアユニットはFOXのFLOAT X 。
もちろんトラニオンマウント規格で、しかもこのバイクに最適化されたチューニングが施されているとのこと。
総じてサスペンション関係は前後共に信頼性が高いセットアップで、激しいライドにも十分対応できるスペックと言えるでしょう。
ドライブトレインに関して言えばSX EAGLEとNX EAGLEのミックスでパーツスペック的には特筆する点はありません。
ですがハンガーがSRAMのユニバーサルディレイラーハンガー(UDH)となっているのはポイント。
先日発表されたばかりのSRAMの新型EAGLEトランスミッションを装備できるのはUDH採用のバイクに限られるので、将来的な伸びしろは非常に大きいと言えるでしょう。
SRAM取扱店ならどこでも購入可能なので、ハンガー自体の入手性が高いのもありがたいです。
SCOTTのMTBらしく見た目も性能も非常に魅力的なGENIUS ST、いかがでしたでしょうか。
風魔横浜に入荷したのはMサイズとなります。
今年のグリーンシーズンはこのバイクを相棒に各地のゲレンデ巡りなんてのも良さそうです。
国内への入荷量はかなり少量とのことなので、惹かれるものがある方はお早めにご検討ください。