ROAD


シマノ自転車博物館に行ってきました

2022.Nov. 20

こんにちは、スタッフ佐藤です。

今年の三月にリニューアルオープンしたシマノ自転車博物館のことを皆さんはご存じでしょうか。

展示内容がスゴいと聞いていたのでずっと行ってみたかったのですが、先日関西方面に旅行する機会があったので立ち寄ってみました。

 

博物館は大阪の堺市にあります。

問屋街的なストリートを歩いているといきなり巨大な建築物が現れてビックリ。

建物の外観からしてすごいですね。

 

中に入るとファニーページングと地域のキッズたちによるイラストがお出迎え。

ここからチケットを購入して有料ゾーンに入ります。

チケットは500円。

 

1Fと2Fでは自転車の成り立ちや進化の歴史をシアターで視聴できます。

臨場感たっぷりで非常にクオリティが高く、自転車が多くの人の思いの下に発展してきたことがよくわかる内容でした。

入社したころのピュアな心を失いつつある佐藤ですが、「こんな素晴らしい乗り物に関わる仕事ができて幸せだ」とうっかり思ってしまいました。

全国のショップスタッフの方は仕事に疑問を持ったらここに来るといいんじゃないでしょうか。

 

2Fの奥が当博物館のメインフロアとなっており、様々な体験コーナーが設けられています。

素材による重量の違い、電動変速と通常変速の違い、油圧ディスクの使用感といったものを実際に触って体験できます。

 

これから自転車を始めたいという方向けに、どんなジャンルが自分に向いているか診断できる”サイクルコンシェルジェ”は特に面白いですね。

自分の顔写真を使って雑誌の表紙風の顔はめ写真を作ってくれたりします。

 

展示物を一通り体験した後に「自転車に乗るとどんな良いことがあるのか?」というパネルを見れば、自転車が欲しくなってしまうこと請け合いです。

知り合いに自転車を買わせたい時はここに連れてくると良いでしょう。

 

ですが自転車好きにとって2Fのメインコンテンツはシマノが世界中から収集した希少な自転車の数々です。

懐かしさを感じさせるあの頃の実用車、レースで実績を上げたロードやMTB、歴史的な価値が高いヒストリックバイクなどなど・・・

僕らが販売したことのあるバイクもあったりしてテンション爆上がりです。

その中で個人的に印象的だった車体を何台かご紹介します。

 

1964年の東京オリンピックで使用された片倉シルクの実車。

当初使用される予定だったのはチネリでしたが、トラブルにより国産メーカーのこちらが急遽抜擢されたというエピソードがあります。

(シャカリキで読みました)

 

ワイヤー類の長さが完璧で美しいですね。

展示にあたってバイクを整備したのは関西方面で有名な某工房らしいです。

 

1950年にドイツで作られた世界最高速チャレンジ用バイク。

ペーサーありとはいえ、なんと154.5km/hをたたき出したのだとか!

ディープリムもビンディングも無い時代にとんでもない記録を作ったものです。

チェーンリングの歯数とチェーンのリンク数が知りたくなりました。

 

1937年にツールで変速機が解禁され、真っ先に投入されて優勝したバイク。

フランスのマガリーというメーカーだそうです。

変速段数はたった3速。それでもシングルスピードのライバルに対して圧倒的なアドバンテージだったのでしょう。

 

プーリーがなく、テンショナーでチェーンの弛みを取る構造のディレイラー。

リムが木製だったり、今の基準で見ると細すぎるクランクアームなども興味深いです。

 

世界初のMTBブリーザーと、世界初の量産型MTBである初代スタンプジャンパー。

あらゆるMTBのルーツとなった偉大な存在であり、MTBの歴史を語るときには欠かせないバイクです。

これらの前にはゲイリーフィッシャーのクランカーがあったわけですが、MTBがMTB足り得たのはこの2台があってこそ。

 

自分の所有してきた数々のMTBもこの2台がなければ生まれなかったと思うと胸熱。

スタジャンの方は1980年当時の物ではなく、2006年の復刻モデルとのことです。

 

三菱十字号。

これは「並木通りアオバ自転車店」で読んだことがあります。

零戦や一式陸攻を手掛けた三菱重工が戦後平和産業に転換した際に作った自転車で、フレーム材は航空用のジェラルミンを使用し、パイプをリベットで接合しているという航空屋魂の籠った一台。

漫画の中ではフォークにベンドをつけるともっと乗りやすくなるといった改造がされていました。

 

個人から寄贈されたという自転車も数台展示されていました。

タンデムの方は新婚旅行で世界一周をしたとか、キャノンデールの方もただのTRAILと見せかけて家族で6大陸旅行をしたとか、全てのバイクに濃いエピソードが満載。

倉庫らしきスペースにはぎっしりと自転車が詰まっているのがチラ見えしており、展示用のストックはまだまだ大量にあるのでしょう。

次回行ったときにはまた別のバイクが展示されているのかもしれません。

 

4Fには歴代デュラエース&XTRの全てがズラリと並んでいました。

これが見られただけでも大阪まで行った価値があったと思います。

お金のない学生時代に高嶺の花と憧れていた7800系を見て、当時の思い出が蘇ってきました。

 

ある程度自転車歴が長い方であれば、思い入れのあるコンポの一つや二つは絶対にあるはず。

自転車全体の歴史だけでなく、個人的なヒストリーに思いを馳せることができるのもこの博物館のいい所です。

 

同じ場所には他社製のコンポもひっそりと展示されていました。

シュパーブプロもオールドカンパもかっけえなあ・・・

 

メカトロニックはキャリパーだけ所有していたことがあったんですが、ドライブトレインの実物を見るのは初めて。

デュラエースaxといいこれといい、未来を先取りしすぎて失敗した製品は夢があって好きです。

 

4Fにはライブラリーが設けられており、自転車に関する書籍が閲覧可能です。

専門的な新書はもちろんのこと、雑誌、ムック、漫画に至るまで色々な書籍が置いてあります。

デジタルアーカイブとして自転車系の論文も読めたりするので、その手の調べ物がある方は行ってみるのも面白いんじゃないでしょうか。

 

そんなわけでとても意義深い時間を過ごすことが出来たのでした。

自転車のことを知らない人が行っても楽めると思いますし、知っていればもっと楽しい場所だと思います。

これで入館料が500円というのは安すぎではないでしょうか。

皆さんも関西に行くことがあったら是非!

 

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