S-WORKS TARMAC SL7 インプレッション
2020.Aug. 12
試乗して惚れ倒して購入したTARMAC SL6 DISCから実物も見ないで注文したTARMAC SL7に載せ替えました。
純粋にフレームのみの交換ですと言いたいところですが、BBが変わった影響でS-WORKS POWERクランクからDURA ACEクランクに変更しています。あと変わったところと言えばタイヤが直前まではRAPIDAIR26cをチューブレスで使っていましたが、GP5000TDF25cの”限定”という言葉に釣られて変えました。しばらくレースに出る予定もないのでブチルチューブの中では軽量なSPECIALIZEDのTURBOチューブにしています。シーラント込みで重量は同じくらいでしょうか。
全てを征するSL7なので軽くなる、あるいはほぼ同重量になって欲しいと願ったところ、7.2kg。載せ替え前のSL6は6.9kg。これはBB、クランクセットの重量増分もあるのですが、フレームサイズが56⇒58にしたことも関係していると思います。ペダルも最近LOOKからSHIMANOにしたし、、、速ければ重量なんて関係ないんですが、正直結構気にしてます。
SL7、硬いと言われてます。お客様からもよくそう聞かれます。
実際硬いですがSL6と比較して硬さの性格が異なる、だから比較するのが難しい、というのが正直なところ。
そもそも「硬い」とはどこがどう硬いのかあいまい過ぎてコメントできません。それにSL7は一言で説明するのがすごく難しいバイクです。
なので色々な要素それぞれに対してコメントしていきます。
ハンドリング全般 クイックです。SL6と比較しても明らかに。バイクの操作感が恐ろしく軽く、それがクイックに感じさせているのもあると思いますがそれだけではありません。クイックなんだけど不安はないというか、タイヤの接地感はしっかりあるので怖くないんですよね。
狙ったラインをトレースできる、なんて言い方が良くされますが、そのラインの内側も余裕を持って選ぶことができるレベルです。
路面からの衝撃吸収性に関していうと、微振動はフォーク・ハンドルを伝ってよく感じるので路面状況はわかりやすい。逆に言うと手に振動は来る、ということです。ただ、前後ハブを軸としてバイク全体が板バネのように縦にしなる感覚があり、それが振動をすぐに消してくれるので不快感はありません。SL6の時のようにシートポストがしなって衝撃を伝えないというのとは少し違うアプローチに感じます。
肝心なペダリング入力に対してですが、私の第一印象、踏む前からトルクがかかってる!進んでる!速い!です。
TARMACはそもそもかかりのいいバイクで、僕がSL6を購入したのもかかりの良さに惚れたから。そのかかりの良さはSL7になって更に強くなり、ペダルがまだ11時にある時点ですでにかかってます。
SL7が独特だなと思うのがこのペダル入力に対するバイクの反応です。11時から4時まではものすごいかかって、いわゆる硬いバイクで踏んでいるような感覚。なのですが、5時を過ぎたあたりでふわっと抜けるんです。抜けた時には逆の足はすでにトルクがかかってる状態なのでまたバーンと踏んで5時付近でふわっと抜ける、バーンと踏む、抜ける、、を繰り返していくとペダリングがどんどんつながっていくのを感じます。自然と入力は「踏む」から「回す」へと移行しバイクはさらに加速していく。快感です。
簡単に言うとただ硬いってわけではないってこと。人によって、「案外マイルド」とか「すっごく硬い!」とか意見が分かれるのは入力のポイントで感覚が変わるからだと思っています。
SL7が素晴らしいのはしっかりペダルがトルクを受け止め、全くタイムラグなく同時にバイクも加速し、脳が「このくらい踏んだらこのくらい進む」と思っているよりもバイクが進むんです。これはSL6からSL7になって一番慣れない点であり、もっとも衝撃を受けた点でした。
エアロダイナミクスの向上だけでは説明できないレベルで進みます。入力に対する推進力がものすごいです。最初は本当に慣れなくて、意識的に変速のタイミングを早めないとバイクの加速にケイデンスが追い付かないという事態に陥るほどでした。
ちょっと踏んだらすぐ加速してしまう、悪く言うとタメがない、TARMACに合わせてペダリングしてあげる必要があるとでも言えるでしょうか。ただそれが同期するとバイクはさらに恐ろしく加速するし、前から吸い込まれるような感覚さえ生まれます。快感です。
この吸い込まれる感覚は勾配がマイナスになった瞬間に最大化します。慣れてきた今でも下りのスピードが想像を超えるのでローターのサイズを大きくしようか悩んでいます。
ちなみにスプリント、恐ろしくいいです。上記抜けがある感じはシッティングの時の話でダンシングだとまた感覚も違うのですが、バイクの振りがものすごく軽いのでブンブン振れて、強度が高くてもなぜか踏み切れる。全開で踏んでるときには余裕もないので、いい!速い!しか感じないのが悲しいですが、踏み切れるというのがポイントのひとつのようで、実力よりも長時間スプリントができているような感覚が強いです。
というのは感覚の話。実際スピードはどうでしょうか。
趣味STRAVAの私、長い距離は乗れていないので近所のセグメントで走り回っていますが、今のところ過去狙って走ったセグメントを100%更新しています。
1週間前にSL6で全開で登って54秒だったセグメントは50秒。
たまたま追い風で出た1分10秒が何度アタックしても更新できなかったセグメントで1分ジャスト。ほぼ無風13.5%。
系列店の若い衆と30秒で同着KOMだったセグメントでは26秒。
一番驚いたのは2年前何度かトライし死ぬ気で出した3分39秒のほぼ平坦のセグメントで3分11秒。しかも突っ込みすぎて後半垂れたのに、です。
どれも前回のトライは狙って走っているので向かい風の時になんてやるわけありません。またコロナ禍により世界的に自転車需要は急増、当店もなかなか忙しく練習不足気味。FTPはベストではありません。バイクがSL7になったから、だけではないかもしれませんが、SL7が異様に速いのはわかっていただけるかと思います。
第一印象として「感覚的に」SL6を凌ぐ素晴らしいバイクだ、と思っていたのですが、どうやらSL7はそれだけではない想像を超えて速いバイクなのかもしれません。「チート」ってこういうことかと理解もしました。むしろ、そうでなければVENGEを過去のものにするなんて言えないと思うのです。
ちなみに、巡航能力の高いVENGEでなく爆発力でTARMACを選んだのは2年前。それからのVENGEの破竹の勢いはものすごかったです。
店頭でのお客様からのご指名も多かったですし、数々のレースでポディウムを飾っていたのも鮮明に覚えています。練習でレースでVENGEにぶっちぎられて負けたことなんて何度もあり、TARMACは最高に好きなんだけどVENGEだったらあの時ついて行けたかも、、、VENGEだったら、、、と練習不足を棚に上げVENGE欲しい病にかかることも何度もありました。
とうとうSL7によってVENGEコンプレックスが解消できそうです。
今一番速いバイクに乗っている、という自負もありまして、ライドするのが楽しくてしょうがない日々を過ごしております。
忖度なく書いているつもりですが、自転車店スタッフですし、明らかにSL7に惚れてますし、私が言っても試してみないとわかりませんよね。
実は当店風魔横浜、そして系列店のGROVE鎌倉にてTARMAC SL7の試乗会を開催いたします!
8/22(土)@風魔横浜
8/23(日)@GROVE鎌倉
予約制とさせていただいており、続々ご予約いただいております!ご興味のある方はお早めにご連絡ください!
お客様の安全とスタッフの健康状態を保つ為、何卒ご理解とご協力の程よろしくお願いいたします。