【スタッフの海外ライド記】2017EWS R8 Italy – その3 プラクティスDay1
2017.Oct. 22
3日目
今日からレースに向けて2日間のプラクティスが始まります。
プラクティスDay1はレース1日目のコース走行ができます。
各ステージ1回のみ、一部区間の反復練習は許可されています
プラクティスでは車による搬送シャトルが認められているので、
個人で参戦のライダーは、家族や友人などに車の運転を頼んで搬送してもらうこともできますし、
多くのライダーは近隣のシャトルサービスを行っている会社もしくはバイクショップに依頼します。
シャトルサービスを利用することで体力を無駄に使い切ることなく、
レースに向けて温存することができるので是非とも使いたい。
事前に予約の手配をしなければ、いっぱいになって利用もできなくなる。
あたふたと、レースも押し迫ってきた8月ころから、
メールやフェイスブックでシャトルサービスに問い合わせをしたんですが、
どこも『もういっぱいだよ。』と断られたり、相場より高めの金額を提示されたり。。。
結局日本を出発する時も見つからず仕舞い。
幸いにも、イタリア到着日に空港に迎えに来てくれたロレンツォの車には、
シャトルサービスの事も書かれていてそれ用の車っぽかったので、
会って早々にシャトルサービスを探してることを伝えてみたところ、
『なんとかなるなずだよ。いっぱいになってもどうにか手筈があるはずさ』
と深夜にも関わらずどこか仲間に連絡してくれて手配をしてくれました。
『明日には分かるはずだから、レセプションに伝えておくよ。』と。
なんとも頼もしく有難かったことか!
お陰さまで2日間のプラクティスでの体力消費を抑えることができました。
まじめに走っていたら1日50km登り1500mを実質4日間フルで走らなければならず、
レースで頑張るどころではなくなったところ。
昨日一緒に走ったステファンも
『シャトルを使わないで大丈夫だろうと思って自走でプラクティスしたらとんでもなかった。』
と話もしていました。
ということで、朝9時にシャトルに無事乗り込むことができました!
峠道はよくある日本のと同じ感じで、
センターラインのない片側1車線で見通しも悪くカーブミラーもありません。
日本でもカーブで警笛を鳴らしますよね?
この車のホーンは中央にぶら下がっているチェーンがそのトリガーです。まるでルパン3世の世界。笑
気の抜けたラッパホーンが楽しかったです。
どのシャトルもほとんど毎カーブごとにホーンを鳴らし、安全確保を心がけていました。
今日1日目はシャトルには2人のみ、バディはドイツ人のトム(19)学生です。
広場でシャトルを降り、林道をひた走ります。
ドイツではXCのナショナルチームで走っている彼。
『どうしてエンデューロレースも走ることようになったの?』
『 下りも楽しいから♪ 』
と、これまたジャンルの垣根の無さを飛び越えて、
マウンテンバイカーとしてのポテンシャルを感じてしまいました。
多くはDH出身ライダーですが、実際トップ選手の中には元XC選手もいます。
マウンテンバイカーとして総合的な実力を問われるのがエンデューロレースだと思います。
2daysのレースとなれば、そこに更にプラクティスを含めた4日間を走りきるフィジカル的なタフさに加えて、
次の日にレースでガチンコに走る為の回復力も問われますし、
テクニカルなSSではスキルがないと、上手いライダーとのタイム差はどんどん開いて行きます。
その意味でもSam Hillをはじめとしたトップライダーもみんな、
同じリエゾンを使ってスタートまで行き、同じSSを自分よりもはるかに速いタイムでフィニッシュすることに、
同じマウンテンバイカーとしてもすごいな、と改めて感心せずにはいられませんでした。
話はそれましたが、
シャトルを下りてから林道を1時間移動、森の中を抜けたあとの景色を楽しみ、
その先の登山道に入ってからさらにバイクを約40分押上げると、
Stage1の始まるモンテ・カルモ山頂に到着です! – 【Google Map】
この日は晴れてわたり、
山頂からの眺望は、広がる地中海とどこまでも続くイタリアン・リビエラ、
背後にはいつまでも遠くへと奥行きが続くイタリアンアルプスの山並みが。
みんな思い思いに写真を撮ったりしています。
【モンテ・カルモ山頂から】
【ステージ1:”Karma Trail” スタートポイント】
ここモンテ・カルモは周辺の山塊では一番高いピークです。
そこからほぼ海に近いレベルまでの約1200m下るトレイルで、
8.6kmの長大なトレイルのなかには、激下りやロックセクション、タイトコーナーやドロップオフに加えて
登り返しセクションも数箇所あらわれるナチュラル・トレイルです。
気温も高かったからなのか、スタートから林間セクションに入るまではコースも掘れていて、
土煙が立つほどバフバフのグリップのしづらい路面と、何度も現れるタイトコーナーに悪戦しました。
多くのライダーが止まったり悪戦しているポイントは同じような場所で、
上手いライダーはそこを駆け抜けていくので、ポイントを押さえて他のライダーの走りも参考にします。
タイヤ空気圧やサスペンションセッティングも見直していきます。
途中の登り返しのロックセクションで転倒して軽く谷側に落ちたとき、
Garminマウントが壊れてガーミンがすっ飛んでしまいましたが、
幸いにも岩陰に落ちているのを発見できて無事練習再開です。
こういうこともあるので山では極力目立つ色がいいですね!
プロライダーも初見では止まってチェックしていたのがこのロックセクション。
カメラが上を向いているので分かりにくいですが、急です。
スピード域も低めで、タイトコーナーが続く斜面を下ります。
手前のコーステープの先には大岩があります。(下写真のライダー手前の岩)
みんなの関心は、このスティープな下りの先の大岩セクションをどうやって早く抜けるか、です。
岩を乗り越えてドロップオフするのもありですが、低速で進入がタイトなので難易度は高くなります。
実際のレースでは、プロライダーも含めて下写真のライダーと同じBラインを通過するライダーが多かったです。
僕も安全を取って同じルートで。。。
レースではここもギャラリーポイントになっていて、盛り上がっていました!
Adrian Dailly 【FB, Google】は見た目もスムーズに、レースでもこのドロップを通過していました。
大岩チャレンジする気が起きずに、他のライダーたちの走りをチェックしていると
プロライダーたちも続々と降りてきました。
Isabeau Courdrier 【FB】はじめガールズライダーたちもやってきて、
そのなかの女帝Cecil Ravanel 【HP, FB】も直前でバイクを降り入念に下見をします。
マスターズ・クラスのトップライダー Karim Amour 【FB】もやってきました。
【ランキングNo.1ライダー2人の後ろ姿】
セシルも下見をしたあと、大岩を乗り越えて胸丈の低速ドロップをすんなりとクリアして行きました。
テクニックも身のこなしもスムーズでさすがに上手いです。
彼女もバックボーンにはXCがあり、
1998年にはジュニアワールドチャンピオンになり、その後北京オリンピック出場も果たしていますね。
本気で走っても約30分にも及ぶ長いステージ1の後はStage2”Bric Tampa”に向かいます。
ここのリエゾンは道も狭い為か、フル自走でスタートまで向かいます。
舗装路も10%以上の斜度が続きますが、林道に入ってからもさらに体力を奪われました。
この時点で、『やっぱEWSは来るんじゃなかったのか。。』
と、だいぶ本気で弱気になってペースダウンしていましたが、
レースでは程よく走れて行けていたので、
イタリアに来て間もなく、寝る時間も少なかった上に暑かったのが原因だったようです。
他にも押しているライダーが何人もいたのでちょっと安心。
Katy Winton【FB】はもりもりと漕いで行きました。(前方にも歩いているライダーがいます。)
ステージ2の入口まで、途中休憩しながら約2時間弱で到着。
ここのトレイルははじめは緩やかですが、
1箇所あるイヤラシイ登り返しの後は、急斜面な上に狭くて岩が多いトレイルで、
膝丈のドロップオフが次々と押し寄せてくるので、終始全く気が抜けませんでした!
だいぶ遅れてトムとシャトルのおじさんの元へたどり着くことができました。
この時点で15時過ぎ。
プラクティス終了かと間違えましたが17:00までなので、
ちょっと安心してシャトルに乗り込み、次のステージへ向かいます。
【ステージ3に向かうシャトルの窓から眺める海岸線】
Stage3 “X-men”
シャトルを下りて生活道を走り抜けシングルトラックへ。
登りを抜けた先にスタートポイントが。
前半2ステージに比べると断然走りやすいステージですが、
相変わらずRockyなセクションが続いてだんだんと斜度も急になり、
視界が開けて海が見えてくるころには終焉を迎えるといった感じです。
YouTubeにコース動画がアップされているのでそちらもご覧下さい。
【YouTube – Finale Ligure – X-Men EWS 2017】
Day1のステージはステージ1、2とふるい落としの為か、
と思うほど体力的にも厳しく、SSもスタートからゴールまで難しい勝負です。
タイムを出そうと思うならテクニカルなセクションをスムーズにこなし、
登り返しに合わせて的確なシフトチェンジも必要などなど、
やらなければならないことが盛り沢山だ!と気づかされた1日目でした。
ステージ2へのリエゾンがあまりにも疲れたので、潔くフロントチェーンリングの歯数を交換しました。
この長くて斜度もそこそこあるリエゾンを、
Yoann Barelliは38Tだっていうんだから、彼の脚力すごすぎです。。。
【PinkBike – Yoann barelli Bike Check】
つづく。