MTB


サスペンションセッティング 2018 ~ダンパー編その3 ~

2018.May. 21

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前回よりちょっと時間が空いてしまいスミマセン。

既にシーズンインしてセッティングの迷宮に迷い込んでいる方も多いと思います!笑
今回はダンパーセッティングの続き、コンプレッション調整をお送りいたします。

 

ところで皆さん、リバウンドの調整は進んでいますか??
最初はなかなか作用を理解するのが難しいと思いますが、
実際に走行しながら大きく設定を変えて試してみると、速くした場合、遅くした場合の作用が
比較的分かりやすくなりますのでお試し下さい。

 

では本日の本題、コンプレッションの調整。
まず、コンプレッションの調整がなぜ必要かのご説明から。
コンプレッションはサスペンションが縮む際のスピード(時間)をコントロールする調整ですが
同時に、入力された衝撃を全部スプリングに伝えない為の機構でもあります。
普通にトレイルを走っている状況では、サグの出たサスペンションでは
そうそうボトムアウト(フルストローク)する事はまずありませんが、
ダウンヒル等、スピードが速く縦の動きの多いフィールドではボトムアウトしてしまう事が多々あります。

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ボトムアウトしてしまうと、サスペンションはもう縮む事が出来なくなり、衝撃を吸収する事も出来なくなってしまいます。
ボトムする前に衝撃を吸収していれば問題はありませんが、
なお衝撃を受けてしまうのが問題で、残った衝撃がライダー/バイクへの負担となってしまいます。
比較的高さのある落っこち系のドロップ等でボトムしてしまうと、
着地の衝撃に耐えきれずペダルから足が離れ転倒。ステム、ハンドル周りで胸等を強打し転倒と、
多くは骨折を伴う大怪我、クラッシュのリスクが高まります。
怪我をしてしまうばかりが、お気に入りのバイクが破損し使用不可・・・なんて事も起こり得ます。

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また、動力が人力のMTBでは無駄に動力を使わない為に、ライダー自身からの入力で
無駄にサスペンションが動かない様にするアンチボビング作用であったり、
縮むスピードをコントロールする事で、タイヤのグリップを得る為の荷重を効果的に掛ける事が出来る様になります。
どちらかと言うと先にお伝えした内容は極端な例で、MTBを楽しむ上ではこちらの調整の方が大きなウエイトを占めています。

リバウンドは走る為に必要な“最低限の調整”で、コンプレッションは、より楽に、速く走る為の“効率の調整”となります。
最低限必要なリバウンドはオフロードを走行出来るMTBのサスペンションには必ず装備されている調整機構で、
コンプレッションは効率化の調整の為、エントリーモデルでは省かれている事が多い機構です。
上位機種になればなるほど、より細かな調整が可能なサスペンションが採用されてきます。
バイクを選ぶ際も、本格的にMTBを始めてみようと思っているなら、サスペンションの青いダイヤルに注目して下さい!
初期投資は大きくなってしまいますが、より細かい調整が出来る方が、後々を考えるとお得!と言う場合がほとんどです。

と、ここまでがコンプレッションのご説明。
そしてここからが本番の調整へ!

コンプレッションの調整と言っても、フォーク、ユニットの違いで出来る事、出来ない事があり調整の方法も様々です。
エントリーモデルに多く採用される、開放 or ロックアウトのみの物、
ミドルグレードになると、走行する場面に応じて、登り~中間~下りの3ポジション選択。
ハイエンドになるとROCKSHOXのRCT3等で3ポジション+ロースピードコンプレッション
FOX SHOXでは3PositionAdjustでOPEN/MEDIUM/FIRMの3ポジション+ロースピードコンプレッションがあります。

上記のコンプレッション機構は効率を優先する機構で、主に~160mmストロークのフォーク、フレームに採用されています。
車種はトレイルバイク~エンデューロバイクと言ったところです。
登りも下りもしっかりと走る用途のバイクになり、ライダー自身の体力を温存する為に効率を考えられた調整機構です。

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下り系のロングストロークモデル、最新のエンデューロバイク~DHバイクになるとアプローチが変わり、登る事がほとんど無い為、
効率の優先度は下がり、代わりに速く、安全に走る為のコンプレッション調整となります。

最新のエンデューロバイクはEWSで勝利する為に、より下り志向への開発が進んでいます。
ストロークは長くなり、リーチは伸び、ヘッドは寝る。
この辺りで下り寄りになるのが止まらないと日本国内のフィールドにマッチしなくなるのではと少し焦っています・・・。

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SPECIALIZEDの新型STUMPJUMPER “EVO”(国内未展開)が最たる例で、
リーチが465mm(S2) / 490mm(S3)、ヘッドアングルは63.5°でホイールベースは1228mm(S2) / 1258mm(S3) と
まさにショートストロークなダウンヒルバイク!?非常に魅力的で攻めたプロダクトですが国内のフィールドにはミスマッチ。
ライドするシチュエーションが思い浮かびません・・・。

ちょっと脱線してしまいましたので話を戻します。

その為、コンプレッションの機構もシンプルにロースピード、ハイスピードの2系統の調整がメインとなり
リアユニットではボトムアウトを防ぐ、ボトムアウトコントロールを備えたモデルもあります。

では具体的に調整の方法をご説明。
一気にお伝えすると長くなってしまいますので、今回はエンデューロバイクまでに採用されている
効率優先のコンプレッション調整をご説明。
基本的には難しい調整ではなく、ポジションを選択するだけのものになりますのでご安心下さい!

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FOXの3Position、ROCKSHOXのRCT3に代表される選択系のコンプレッション機構は
メーカーが蓄積したデータを基に、最適化されたポジションをシチュエーションに合わせて選択するだけ!
下りセクションでしっかりストロークさせたい時、FOXはOPEN、ROCKSHOXはオープンポジションを選択。
平坦や、斜度の緩い登り等、動いて欲しいけど、動きすぎて欲しくない時はFOXはMedium、ROCKSHOXはハーフロックを選択。
斜度のきつい登りや舗装路等のアプローチ時に最低限動いて欲しい時はFOXはFIRM、ROCKSHOXはロックアウトを選択。
と言った具合に本当に選択するだけで簡単にコンプレッションのセッティングが出来てしまいます。

また、FOXのFactoryモデルやROCKSHOXのRCTは3ポジションとは別にロースピードコンプレッションを調整する事ができ、
調整する事でオープンの状態でもライダーからの入力に対するストロークを抑える事が出来ます。

ポジションの選択が無い、エントリーモデルの場合は無駄に動いて欲しくない場合はロックアウトの選択、
オープン~ロックアウトまでの間が調整出来るモデルは、ライドしていて動きすぎるなぁと思った際に
1~2クリックずつ締め込みながら様子を見てベストな位置を探してみて下さい。

本来、コンプレッションの役割は今回お伝えした内容の他にも、荷重をしっかり掛ける為であったり、
大きな姿勢変化を抑える為であったりと様々な仕事を担っています。
皆さんのライディングスキル向上でサスペンションに求められる性能も多くなり、
ライディングスキルを向上させるのにも調整機構の多いサスペンションは一役買ってくれます。
折角の装備も分からないままでは宝の持ち腐れです。是非セッティングにチャレンジしてみて下さい!
今回は、ざっくりと効率系のコンプレッション調整についてお伝えさせて頂きました。
次回はしっかりとお伝えする自信がありませんが、DH系のコンプレッション調整+αでお送りする予定です!